実験データを活用したリチウムイオンバッテリーの等価回路モデルの作成方法
近年、小型・軽量・高電圧・メモリー効果無しなどのメリットを持つリチウムイオンバッテリーが、HEV・EVなどの移動体や、太陽光発電・風力発電などの再生可能な新エネルギーの中で、蓄電池として利用されています。
その反面、リチウムイオンバッテリーのデメリットは、過充電や急速放電を行うと過熱状態となり、発火する恐れがあることです。したがって、リチウムイオンバッテリーを使った安全なシステムを開発する場合には、実機検証の前段階として、シミュレーションによる検証を行うことが重要です。
例えば、HEVを10・15モードなどの車両走行パターンで走行させたときに、リチウムイオンバッテリーの挙動(放電・充電に伴うバッテリーの電圧・電流、バッテリーの充電状態を表すSOC、バッテリーの温度)をシミュレーションで検討する場合には、数秒~数時間の比較的長い時間の挙動をシミュレーションする必要があります。そのため、シミュレーションモデルの詳細度と計算速度のトレードオフの関係を加味して、実機バッテリーと同等な電気的挙動を示すリチウムイオンバッテリーモデルを作成することが重要です。
本Webセミナーでは、HEVなどのシステムレベルシミュレーションを行うために有効なリチウムイオンバッテリーモデルの作成方法の一例として、実機リチウムイオンバッテリーの実験データを活用して、リチウムイオンバッテリーの等価回路 モデルを作成する方法を説明します。
(1) リチウムイオンバッテリーの単一セルの等価回路モデルを作成
→ 基本的な回路素子(Simscape)+非線形な回路素子(Simscape Language)
(2) 実験データを使って等価回路モデルの複数のパラメータをフィッティング
→ 最適化計算による複数のパラメータのフィッティング作業を自動化(Simulink Design Optimization)
(3) リチウムイオンバッテリーの単一セルモデルから複数セルモデルへの拡張
詳細内容は、下記の英語論文に示されています。
IEEE Paper (March 2012): High Fidelity Electrical Model with Thermal Dependence for Characterization and Simulation of High Power Lithium Battery Cells
また、本Webセミナーで使用するサンプルモデルは、下記URLよりダウンロード可能です。
MATLAB Central: Lithium Battery Model, Simscape Language and Simulink Design Optimization
参加対象者:
- 実機リチウムイオンバッテリーの実験データを使って、リチウムイオンバッテリーの等価回路モデルを作成されたい方
- HEV・EV、太陽光発電・風力発電などのシステムレベルのシミュレーションで使うリチウムイオンバッテリーモデルに興味のある方
- バッテリーの制御システム開発で使うリチウムイオンバッテリーモデルに興味のある方
録画: 2013 年 5 月 14 日