64-bit 環境で 32-bit アプリケーションを生成する設定になっているためエラーとなり、ビルドができません。回避策として 64-bit アプリケーションを生成するため設定し直す必要があります。具体的な手順を以下の通りとなります。
Visual Studio Express 2010 に内蔵されるコンパイラを用いて 32-bit のアプリケーションしか生成できません。64-bit のアプリケーションを生成のため、SDK 7.1 をインストールし、設定を行ってください。SDK 7.1 は以下の URL からダウンロード可能です。
SDK 7.1 のインストール完了後、Visual Studio を立ち上げ、以下の通り設定します。
1. Tools -> Options を開きます。
2. 左側のナビゲーションパネルにある「Projects and Solutions」を選択します。
3. 「Show advanced build configurations」にチェックを入れます。
4. 「OK」を押します。
Visual Studio の操作ウイザードは以下のようになります。

アプリケーション生成するプロジェクトにて 64-bit ターゲットを選択するため、上記の設定が必要となります。
実際のプロジェクトを作成する方法は以下の通りとなります。
1. File -> New -> Project を開き、「Win32 Console Application」を選択します。直感的には矛盾しているようにみえますが、これが 64-bit アプリケーションを生成するための正しい方法です。
2. プロジェクト名(例えば Engine_Demo_64bit)を入力します。
3. 「OK」を押します。
4. 表示される「Win32 Application Wizard」にて 「Next」を押し、次のページの「Additional options」の「Empty Project」を選択します。
5. 最後に「Finish」を押します。
Visual Studio の操作ウイザードは以下のようになります。

MATLAB インストールディレクトリの extern\examples\eng_mat 直下にある engdemo.cpp をプロジェクトの「Resource File」として追加します。
ここで Advanced build configurations のプルダウンメニュをクリックし、「Configuration Manager」を選択します。

「Configuration Manager」ウイザードにて「Active solution platform」項目に「New」を選択します。

新しいターゲットとして x64 を選択し、「Copy settings from」オプションを「Win32」のままにします。

OK を押し、「Configuration Manager」を終了します。これで Debug Win32 の代わりに Debug x64 が設定されます。

次のステップでは必要なヘッダーファイル及びライブラリのパスを設定します。
プロジェクトに右クリックし「Properties」を選択します。デフォルトで開きます
「Configuration Properties」 -> 「General」の「Platform Toolset」を「Windows7.1SDK」に設定します。

上記を設定しない場合、以下のビルドエラーとなります。
ERROR: 1>------ Erstellen gestartet: Projekt: Engine_Demo_64bit, Konfiguration: Debug x64 ------
1> engdemo.cpp
1>..\engdemo.cpp(137): warning C4267: 'initializing' : conversion from 'size_t' to 'int', possible loss of data
1>LINK : fatal error LNK1104: cannot open file 'kernel32.lib'
========== Erstellen: 0 erfolgreich, Fehler bei 1, 0 aktuell, 0 ubersprungen ==========
次のステップでは 「Configuration Properties」 -> 「C/C++」に移動し、MATLAB インストールディレクトリにある extern\include のパスを 「Additional Include Directory」に設定します。

「Configuration Properties」 -> 「Linker」に移動し、MATLAB インストールディレクトリにある extern\lib\win64\microsoft のパスを 「Additional Library Directory」に設定します。

最後に「Configuration Properties」 -> 「Linker」-> 「Input」に移動し、「Additional Dependencies」として libmx.lib、libmat.lib および libeng.lib を追加します。

「OK」を選択した後、ビルドを開始します。これで問題なくビルド及びアプリケーションの実行が可能となります。
アプリケーションの実行の際、以下のエラーが表示される場合もあります。

ビルド自体は成功していますが、アプリケーション実行において MATLAB インストールディレクトリの bin\win64 下の必要なライブラリの参照が失敗するためエラーとなります。対策として、環境変数 %PATH% の設定を行うか Visual Studio が実行時に正しくパス参照できるように設定します。
後者の場合、プロジェクトの「Properties」の「Configuration Properties」 -> 「Debugging」で環境変数 PATH を設定します。
